最近のこと

近況。

4月からぶらぶらしていたが、ようやく就職することが決まった。たぶん向いている仕事だと思う。いまは派遣社員という身分で、来月転職することになる。いまの職場はいいところで、辞める理由は「正社員じゃないから」くらいしかない。非正規で働いてみて思ったが、仕事をしていて思うことがあっても、もちろん新たなアイデアや修正案を出すことはできるが、それを自分の裁量で遂行して責任をとることができない、というのはなかなかつらかった。派遣先では、契約上、私は長くとも3年しか働けない。契約とか立場とかそういうことを抜きにしても「近いうちに必ずいなくなる人」としての働き方はそこまでおもしろいものとも思えなかった。

今後、正社員として働きに出ても、定年まで同じ会社にいるかどうかはわからない。だから「正社員は身分が安定している」とはそこまで思わない。派遣のお給料もそうとうよかった。しかし、せっかく平日の多くの時間を費やして働くのだから、決裁権を持ちたいと強く思うようになった。これは就職活動中の大学生にはなかなかもてない視線だと思われるので、派遣で働いてみたのも代え難い経験になった。

よく派遣社員の求人広告に「私らしく働く」とあるが、それはおもに時間や勤務地の都合についてであり、「働く」の周辺的な事項にすぎないと私は考えている。

退職まで一月半あるが、任されていた作業を効率的に片づけることと、それをマニュアル化することに心血を注ぐつもりでいる。そういう仕事はけっこう好きだ。

日本は踊ってはいけない国になったらしいが、年に10回もクラブに出かけない自分にはさしたる影響もない。それどころか私は人生最高に踊ってばかりだ。

2ヶ月くらい前からフラダンスの教室に通い始めた。ちなみに「フラ」はハワイの言葉で「踊り」なのだそうだから、「フラダンス」では意味が重複して「頭痛が痛い」みたいに間違った言葉遣いになる。でも「フラ」と発話するとなんとなく玄人のようで恥ずかしいから「フラダンス」と言ってしまう。言うたびに、ハワイの人や教室の先生に申し訳なくて、胃痛がきりきりと痛む。

大学の最終学期、体育の授業で少しだけフラをかじった。運動能力が壊滅的に低く、リズム感覚も持ち合わせない私は、ダンスが苦手だ。苦手意識があると「踊る」こと自体が恥ずかしく思えてしまうので、よけい動きが悪くなり、表情は「神妙な薄ら笑い」に近づく。そういう自分のすべてがいやで、もともと音楽は好きなのだから、せめて心からの笑顔を浮かべながら体を動かしてみたいと思い、ゆったりしたイメージのあったフラを習ってみたのだった。以来、楽しくて続けている。

日常、まったく行わないような姿勢や体重移動をする場面は多々あるものの、飛び上がったりすばやい動きをすることはない(そういう踊りもあるようだが、私が習っているのは一般にイメージされる「フラダンス」と相違ないものだ)。つまり、振りを間違えてもリカバーしやすく、恥ずかしい思いをすることがほとんどない。自分がダンスに対して持っていた苦手意識はそのあたりにあったようだ。間違えるのも、それが白日にさらされるのも、自分には相当耐え難いことだったのだ。

フラが楽しくなってきたので、味をしめて「ズンバ」という踊りを習いに行って、ひさかたぶりにその気持ちを実感した。アッパーな音楽に合わせてアッパーなテンションを保ったインストラクターのアッパーな踊りにはいっさいついていけず、心技体すべてが置いてきぼりになった。神妙な笑顔で30分間踊り続けるのは修行とも思われた。

フラはたのしい。日に日にそれっぽい腰つきができるようになるのがうれしくて、まじめに続けている。2ヶ月目にしてようやくほかの生徒さんとも話すようになれたし。

以上、近況報告でした。