ここ最近のこと

昨日から妹と旅行に来ている。小豆島から高松へ行くフェリーの中でこの日記を書いている。瀬戸内海は想像していたのとぜんぜん違った。島がものすごくたくさんあるんだね。海の上に山脈が浮かんでいるみたいだ。

最近のこと。

2020年のオリンピック開催地が東京に決まった。私は桜が苦手で、それは、開花宣言から満開になるまでの短い間、皆にとっての一大事がひとつのことに集約していくような雰囲気に耐えられないからだ。ちなみにどこかで読んだのだが、ソメイヨシノは明治期にそこかしこに植えられたらしい。一斉に咲いて散る桜を、富国強兵を担うべき国民に例えたのだとかで。ともかく「斜に構えている」と言われても仕方がないかもしれないけれど、大勢が関心事を同じくしている状況が本当に嫌いで逃げ出したくなる。動物的な本能の要請なのかもしれないと思う。群れが襲われて全滅しても種を残すために、多数派の行動をとらないようインプットされた草食動物みたいな。何週間か列島を大騒ぎさせて勝手に散っていく桜より、寒いうちから堅実に花をつけていつまでも咲いている梅のほうが、私は断然好きだ。

そういうわけで、東京に「開幕まであと100日」といった横断幕が張られるようになるころの自分を想像すると今から気が滅入る。オリンピックは特に苦手で、昨年のロンドン五輪もまったく観戦しなかった。自分が応援したチームはだいたい負ける。

東京五輪はみんなと一緒に大騒ぎできたらいいな。そのころ私は30歳で、さすがに精神的に落ち着いているとうれしい。なんとなくでも七年後に思いを馳せる契機ができたのはいいことなのかもしれない。

先週の火曜日は朝の5時から家事を片づけた。だいたいいつもそれくらいには起きているんだけど。その日は自分の書いた書評が「週刊朝日」に掲載される日だった。これで二度目だけれど、日本中で買える雑誌に署名付きで自分の文章が載る感覚は特別だ。知人が、旅行先のコンビニでふと立ち読みしたら名前を見つけたよ、と報告してくれてうれしかった。私は会社員をして生計を立てていて、会社が私の存在を「許してくれている」という感覚があるのだが、もうひとつ居場所を作ってもらったような気分。それも日本中に。

平日の朝に家事をするのが好き、というか、ほとんどの家事を平日の朝に少しずつやっている。床を拭くとかシーツを洗うとか。私は仕事が忙しくないから夜や休日はへとへとで寝てばかり、というわけではないのだが、そうやるのが向いていることに最近気がついた。一人暮らしをはじめてそろそろ一年が経つが、自分がどう暮らすといいのか、少しずつわかってきて気持ちがよい。

書評をどう進めるかというのも最近いちばん考えていたことだけれど、会社の休み時間に少しずつやるのが一番できることがわかった。夜はどうしてもだらけてしまう。

何週間か前に買ってきたバジルの苗、案外きちんと面倒をみてやれている。どこかから種が飛んできたらしく、バジルの隣に雑草の芽が生えてきた。若い緑色が育っていくのを見るだけで気持ちが和む。気温が下がってバジルが枯れたあとでも、この雑草はまだまだ育ちそう。

そろそろ高松に着くからおわり。